法人税減税は本当に「家計に冷たく、企業にやさしい」のか?

こんにちは!ブログ管理人の浅次郎です。

 

今日は「法人税減税」について

 

思うところを簡単にお話します。

 

あらかじめ言っておきますが、
私は政治家でも官僚でも政治評論家でもなく、
企業に勤めるサラリーマンでもありません。

 

税金を払う立場の単なる一個人事業主・一消費者でありますので、
「法人税の引き下げ」による直接的なメリットは全くありません。

 

関係ないわー

 

「法人税減税」は、ロビンマスクよりも私には関係ないことですが、
そんな一小市民でも色々と考えてみると面白いことが分かりますよ。

 

さて。

 

先月末、安倍首相は「骨太の成長戦略」を発表。
この中で、現在の法人税の実効税率を
約36%を20%台まで引き下げる!
(ことを目指す)と言ってますよ。

 

「消費税を上げて、法人税を下げるなんて・・・

家計を犠牲にして企業を優遇するつもりか!」

 

という論調のマスコミが多いです。
報道ステーションの言うことは特に信用したらいかんですな。

 

 

報道ステーション1

 

単純に考えればまさしくその通りでありまして、

 

消費税増税・・・広く消費者の負担が増える。
法人税減税・・・企業の負担が減る。

 

という構図です。

 

なんでやねん!と思った方が多いでしょう。

 

なんで消費税上げといてからに、
企業の税金減らすねん!

 

私も最初はそう思いました。

 

でも、よーく考えてみれば・・・そんなに単純な問題ではないのです。

 

まず、消費税の増税分ですが、
これは「全て社会保障に使われる」と明言されています。

 

消費税増税分は社会保障に使われる

 

 

年金制度や健康保険制度の問題点はココでは置いておきます。

 

分かっているのは、
消費税の増税分は年金や医療のタメに使われるということです。

 

本来、私達の親や祖父母は、私達が衣食住の面倒見てやらんといかんのです。
でも、私達の代わりに国がやってくれてるわけで・・・

 

多少の増税があろうとも、
この点につき私達が不平を言う資格はないと思うのです。
嫌だというなら、自分の親は自分で面倒みるよろし。

 

まあ、増税のタイミングはもうちょっと後が良かったのでは?
(デフレ脱却してからの方がいいのでは)

 

とは思いますが、
これって民主党時代に決められたことですからねえ。

 

世界も「日本の財政再建は急務」と見てるわけですし、
すでに市場は「織込み済み」なわけですし、
「やっぱり増税ヤメまーす」なんて言ったらその影響は計り知れないわけです。
(アベノミクスによる円安を世界がスルーしてる理由の一つ)

 

消費税の増税分は、根本的にすべて「社会保障」に使われる税金です。
私達も将来そのお世話になるかもしれないわけですから、

 

「消費税増税は弱いものイジメ!」

 

と言った論調はちょっとオカシイと思うのですよ。

 

むしろ弱い人を助けるための増税でしょう?

 

違う所から取れ!という論法もあるかと思いますが、
じゃあどこから取りますか?

 

のび太からじゃなくてスネオから取れ

 

のび太がダメならスネオから取りますか?

 

代替案のない批判は全く意味がありません。
これから団塊の世代が大量にリタイアし、すべからく老人が長生きし、
莫大な額の社会保障費が必要になるのです。

 

ちょっとやそっとの財源ではとても賄い切れないのです。

 

・・・

 

んで、本題の「法人税の減税」についてですが、

 

これは「消費税増税」とは全く別の話で、並べて考えたらアカンのです。

 

消費税増税・・・社会保障
法人税減税・・・景気対策

 

そう。法人税の減税は「企業優遇」と言った話ではなく
「景気対策」なのです。

 

法人税減税は直接的には「税収が減る」政策なわけですよ?
普通に考えたらこの財政悪化が叫ばれてる時にやるはずないでしょう。

 

なぜ、減税が「景気対策」なのかというと、

 

減税

企業に余剰資金が出る。

投資、給与増

消費の拡大

多くの企業の業績が上がる

さらに投資、給与増

 

という上昇スパイラルが発生するからです。
金融緩和による企業業績の上昇、景気上昇と同じメカニズムですよ。

 

金融緩和

円安、株高

企業業績の上昇

投資、給与増

消費の拡大

多くの企業業績の上昇

さらに投資、給与増

 

政府は、経済をこのスパイラルに乗っけたいわけ。

 

もちろん、
減税で余ったお金を貯めこんでしまう(内部留保)企業も出てくるでしょう。
しかし、その多くは社員に還元したり、設備投資に回したりするのです。

 

ちなみに、帝国データバンクの調べによると、

 

51.3%の企業が設備投資や給与の増額に充てると返答しています。内訳は、

 

給与・賞与の増額・・・17.3%
設備投資・・・14.9%
人員の増強・・・14.0%
研究開発・・・5.1%

 

つまり、約半分の企業は、
余ったお金は建設的に使う!と言ってるわけです。

 

一方で、

 

内部留保・・・20.5%
借入金の返済・・・16.3%

 

というネガティブな企業も37%に登ります。
まあ、借金がある企業が借入金の返済をするのは当たり前だと思いますし、
中小企業がいざという時のタメに現金を持っておこう!
と思うのも無理はない話だと思います。

 

いずれにせよ、
半数以上の企業がポジティブに余剰資金を使うと言ってるわけですが、
大企業が積極的に経営を展開していくとどうなるのでしょう?

 

雇用が増える→失業率が減る→所得税が増える。
給与が増える→消費が増える→小売業が儲かる→法人税が増える。
設備投資をする→関連企業も儲かる→法人税が増える。

 

中小企業は大企業から多くの仕事を請け負っています。
こうやって中小企業やその家庭にもドンドン波及して行くわけです。

 

と、まあこんなに上手く行くとは限りませんが、

 

大事なのはこの流れを作ってあげることであって、
流れに乗れば、景気はドンドン上昇していくわけです。

 

そうすると・・・あらまあ不思議。

 

減税で税収は減るはずなのに、逆に増えちゃった!

 

という現象が起きるわけです。

 

これはすでに世界で実例がある話で、

 

イギリス 33%→24%に減税・・・法人税収は4.8%増加。
ドイツ 54.4%→29.5%に減税・・・法人税収は5.6%増加。
韓国 30.8%→24.2%に減税・・・法人税収は8.4%増加。

 

と減税を行うと、結果的に税収が上がる!という逆転現象が起きるのです。

 

もちろんこれは「予測」であって確実な話ではありません。
給与増や投資が普及し、
企業の業績に反映されるまで5年掛かるとも言われています。
それまでは税収が減るわけでして、
その分をどうするんだ!と今揉めてるわけです。

 

フクロウ1

 

 

もう一つ。

 

「景気対策」の他に、法人税減税の大事なポイントがあります。

 

それは、
「企業の日本回帰」「海外企業の誘致」です。

 

日本の法人税が先進国と較べて高いのは周知の通り。
(だから海外並の法人税にしようとしている)

 

法人税各国の比較

 

日本の実効税率36%に対し、
ドイツは29.6%、
イギリスは24%、
中国は25%、
韓国は24%、
シンガポールはなんと17%です。
(だからシンガポールに引っ越すIT企業が多い。笑)

 

アメリカは州によって違うから一概に言えないのだそうな。

 

ヨーロッパの国は比較的関係が薄いので
他人の庭の芝が青くても気にならない感じですが、

 

中国や韓国より・・・
日本の税率が10%も高いのはとても問題がありそうですよ(笑)。

 

いずれにせよ・・・

 

そのせいで、海外の企業が日本に投資しにくい!
また、日本の企業が海外に出て行ってしまう!

 

という現象が起きてるわけです。

 

グローバルな現代では、企業が国を選ぶ時代となってます。
実際、名だたる日本の大企業は、
空前絶後の円高もあり、
「日本で生産する」ということを半ば放棄し始めていました。

 

この10~20年で、海外に生産拠点を持つ日本企業がどれだけ増えたことか。

 

さらにネットがこれだけ普及しましたからねえ。
情報のやりとりだって一瞬なわけでしょう?
敢えて、人件費が高く、運送コストが高く、法人税が高い日本で
生産する意義はドンドン薄れているのです。

 

「Made in Japan」が崩壊しつつあるのですよ。

 

メイドインジャパン

 

日本の生産拠点が無くなっていくとどうなるのか?

 

工場は閉鎖し、雇用は失われて行くのです。
それだけではなく、地域の活性が失われて行くのです。
大工場の閉鎖は町自体を壊滅させてしまうのです。
シャープもパナソニックも・・・

 

法人税が高いとか低いとか言う前に、日本の企業が日本から減っていくのです。

 

しかし、日本の法人税が低くなればどうでしょう?
確かに人件費や輸送コストは掛かるものの、海外にはまた違ったリスクがありますから・・・

 

「敢えて海外に進出する必要はない」

「中国はリスクが高いから日本に戻ろう」

 

といった動きが必ず出てくると思われますよ。

 

「海外企業の誘致」に関してはどうでしょう・・・
確かに法人税が他国と同じレベルになれば
日本への投資はしやすくなるでしょうね。

 

でも、個人的には殊更必要ないと思います。

 

税収を上げる役には立つと思いますが、
今の成熟した日本にコレ以上の海外企業が必要かどうかは甚だ疑問です。

 

海外企業が日本に来るということは、
その海外企業と日本企業は競争せねばならんということですから・・・

 

まあ、そうは言っても、他国にとって日本は垂涎の市場でありますから、
特にアメリカは強引に入ってくるのではないでしょうか?

 

なるほど、

 

そう考えるとTPPと法人税減税はセットなのかもしれませんね。

 

 

まとめ。

 

法人税減税は「家計軽視、大企業優遇」とマスコミは言いますが、
本当でしょうか?

 

大企業が余力を持てば、中小企業にも波及し、いつか家計にも波及するのです。
日本の企業が外国に出て行って困るのは私達なのです。

 

むしろ、家計を助けるためであり、

 

一時的に税収が減る諸刃の剣なのであり、
(だから反発が多くて去年は実現出来なかった)

 

上手く行けば、
デフレからの脱却を早め、税収増となり、
引いては財政再建まで見通した政策なわけです。

 

ま、上手く行けば、の話ですけどね。

 

「経済の回復」「財政再建」は待ったなしの状況です。
同時に達成するためには、経済の好循環を生み出すことが必須。

 

つまり、
企業業績の上昇→株高・給与増・投資増→消費増→・・・この繰り返し。

 

そのための法人税減税であります。
決して「家計軽視、大企業優遇」といった低俗な話ではないと思います。

 

今、ココを乗り切れば、

日本は上昇スパイラルに乗るのです(そうなって欲しい)。

 

しかし仮に上昇スパイラルに乗ったとしても、
いつまで続くかわかりません。
恐怖のピッコロ大魔王は、
いつだっていきなりやってくるのですから。

 

ピッコロ大魔王

 

 

以上、法人税減税についてでした。

 

PS.私の言ってることが正しいとは限りません。
ご自身でもよく考えてみて下さいね。

 

PS.法人税減税に伴う税収減の穴埋めに「パチンコ税」なる構想があるそうな。
これ、私大賛成です。